人間はこれから進化するか

 人間はこれから進化するのかという疑問に対して、人間の想像というのはあらゆる方向に錯綜する。  サイエンスフィクションを読んでいる人ならば、背が低い、頭と目が大きく、ほっそりとした 特徴を持つ人間を想像するのではないでしょうか。一般的に種の繁栄のためには様々な要因から外見を変化させて対応しなければならない理由がある。この様々な要因によって遺伝的な変化を見せることを生物学的に進化圧という。まずこの進化圧が加わったことで、今日種の繁栄によって人間が存在しているのであり、現在の人間を形作っていると言える。

進化圧とは

 進化圧とは、自然淘汰による進化をうながす方向にかかる自然の圧力。生存が難しい環境ほど進化圧は強くなる。自然界では動物は常に食物連鎖の危機にさらされ、また地域によっては気候の変動に耐えなければならない環境があり、こういった生存にプレッシャーがかかる状況において時間をかけて動物は遺伝子を変化させながらその世代に適合した姿に変貌していったわけだ。つまり淘汰しようとするエネルギーに対する反作用の結果が進化だということ。

選択による淘汰

生物学において選択とは、進化において、生物個体や形質などが世代を経ることによってその数や集団内での割合を増していくこと。逆に、割合を減少させていくことを淘汰という。つまり進化圧によって様々な肉体的な特徴が変化していく過程で、適合できない種というのは自然に淘汰されていく。例えば、人間は其の昔森を住処としていた。生存と種の繁栄という本能的なプロセスの前に、現状に適合していかなければならない人間は、道具をどのように使うかを覚え、どのような方法で捕獲するかを考える出す力を自ら身につけようとする。脳を発達させる事で食物連鎖が激しい自然界の森の中で生き抜くことができるようになったが、この変化に対応できない人間は淘汰されていく事になる。

進化は目の前にある

 進化という観点で言えば、今我々が日々目にしている技術革新や、日々便利になる暮らしは確実に進化と言えるのではないだろうか。飛行機というものが開発されてからどの大陸にも移動で自分の子孫を残す事ができるし、食料の調達も文明ができる前とは比較にならないほど高度な機械によって効率的に大量にとれるようになり、養殖という概念もうまれた。今現在進化圧を上回る勢いで文明や技術革新を経て選択による淘汰がなくなってきている。つまり相対的に見て人間が肉体を変化させて環境に適合する理由がないのだ。

現代の進化とは

 ただ肉体を医療や遺伝子工学の分野で本来とは違った特徴の人間を生み出したり、または医療の分野で人工的に寿命を伸ばしたり、表面的な特徴を整形という手段を用いてかえる事はできる。これも進化圧による人間の進化の特徴の一つではないかと捉えている。カク・ミチオ教授は生体的に人間が明らかな特徴を持って進化することはないと言っている。これからの時代の人間の進化の定義というものは恐らく技術革新や利便性の向上によりさらに生存の確率を上げ、寿命を伸ばす事だろうと思う。