献血の呼びかけ 協力者の事は考えていますか?


こんにちは、大井です。 駅前に献血車が止まっていて、日本赤十字の社員がしきりに通行人にむかって献血を呼びかけている光景にちょっと疑問を覚えたので、その疑問について色々書きたいと思います。
ちなみにこの赤十字の献血車両、一年を通して頻繁に私が通っている駅のロータリーに駐車して献血者を募ってます。ここ3月下旬から4月上旬にかけては毎日来ては歩道上に献血者募集ののぼりを出して、拡声器で通行人に向かって血液の不足状況と、血液が人工的に作ることができない窮状を通行人に訴え協力を要請しています。

ちなみにちらっと横目で献血車両の前に設置されているテントの中を除いてみるとほとんど人がいない状況で、この様子からすると毎日駅前に通っている割にはあまり献血者を確保できていないようでした。ほとんどの通行人は血液の不足を訴える赤十字社員を尻目に気に留める様子もなく忙しく歩道上を行き交っていました。

ところで皆さんは献血をしていますか?それともこの無関心な通行人と一緒でしょうか?私はどちらかというと後者です。どちらかというとの意味は気分次第で協力するということです。ほとんどの通行人は私のようにふいに求められる協力に対してとても非協力的です。現代のように目まぐるしく目の前の状況が変化する時代においては、現代人はなるべく人から貴重な時間を奪われるのは避けたいという心理が働くのは当然でしょう。さて自分の協力したくないという心理を俯瞰して観察し、赤十字社の要請に対して具体的に何に疑問を感じているか考えてみました。

本当に血液が不足して急患に輸血できないという窮状があるのかどうかという疑問


拡声器で毎回呼びかけられる献血の協力要請。ボランティアとして献血の有志を募ることがいかに非効率で人の関心を集めないかはそこで働いている彼らがよく知っているはずです。書類に必要事項を記入してサインをし指定した献血量を取るまで時間がかかる。そして何よりも太い針を刺される痛さがある。こういった通行人感じているデメリットを相殺してくれるだけのメリットを提示しないで協力をしてくれる人が都心で何人いるか容易に想像できるはずです。一分一秒奪われることを嫌う昼間の歩道を行き交うサラリーマンやOLをターゲットにするにはあまりに戦略がお粗末という他ないと私は思っています

本当に急患の患者が窮状を訴え一刻も早く輸血を必要としている場合、ボランティアなどそんな悠長なことは言っていられないはずだと思います。私が担当者であれば寄付された資金を使用して通行人の血液を購入すると思います。例え資金の使途について国や地方自治体または寄付を申し出ている有志から細かな取り決めを条件として出されている場合でも危機感があれば、なんらかのアイディアを出して様々な戦略を立てるでしょう。 同じ場所に献血車両を駐車して、拡声器で状況説明と献血者の募集を毎回同じ方法で繰り返している光景をみると全く危機感が感じられません。
いまどきジュース一本や二本で動いてくれる人なんて子供以外でいるんでしょうか?
本当に血液が足りないという感じが伝わってきません。

拡声器で自分の要求だけを声高に伝えている


ビジネスの世界では顧客を獲得する為に熾烈な争いが繰り広げられています。顧客を獲得する為に様々なメリットを提供し相手の気を引く。時には新製品の無料お試しキャンペーンや、無料の初回サービスを提供して商品やサービスを認識してもらいます。しかしそれだけでは終らない。顧客に継続的にリピートしてもらうために、クーポンやポイントカードなどの施策を講じて顧客の定着を狙います。企業は集客や顧客の獲得にはターゲットのメリットに応じた様々なアイディアや戦略を試行錯誤して莫大な資金を使い、市場での競争を勝ち抜いて行きます。

ターゲットとなる通行人に対して何のメリットも与えないで自らの要求だけを伝えて集客なんかできるんでしょうか?通行人が協力したがらない理由について考えてどういうメリットを与えたら献血者があらわれるか考えないのでしょうか? 集客はそんなに甘いものではありません。まずターゲットとなる通行人の立場に立って何をしてほしいのかを考える方が先です。ボランティアであるにしても自分の要求だけを伝えて協力してくれる人なんてまずいないと考えた方がいいでしょう。

相変わらず協力者のメリットを記載せずに、ただ協力のお願いを要請するだけの広告


 数年前起業した私の知り合いはウェブデザイナーですが、sohoでもなかなか実績が積めなかった時は、無料でも仕事を取ってきて自分の実績にして次の仕事の依頼を得る足がかりにしようとしていました。さて日本赤十字社を詳しく知っているわけではありませんが、有志からの寄付、そして特定医療分野における国からの補助で運営されておりどうやらお金がないわけではないです。もちろん多くの社員を抱えているわけですから人件費はかかりますが、起業したての人よりは資金の面においては心配はないはずですが、様々なところで目にするポスター、広告はやはり協力をあおる内容しか書かれていません。血液不足の窮状、病に伏せている患者の写真など同情して気をひく内容はかかれていますが、協力する側の事はまったくふれられておらず、メリットも提示されてません。少ない資金でも良いアイディアさえあれば素晴らしいメリットを与えることはできますし、無料でもマッサージなど簡単なサービスは思いつきます。資金が少しでもあるのであれば協力者が協力しやすいメリットを購入して提供するべきです。こんな自分勝手な広告に誰が目をとめるでしょうか?

まとめ


 さてわたしが疑問に思った事を簡単に纏めると、血液不足の窮状を訴えているにもかかわらず、集客ができないと分かっている方法でいつまでも協力要請を訴えているという矛盾と、与えることの重要性を認識しておらず自らの要求だけを相手に伝えるという極めて自分本位なやり方に疑問を覚えたということです。 ボランティアにはボランティアの考え方があるんでしょうが商売をしている人間から見ると改善点は非常に目につきます。彼らはもっとターゲットの立場に立って物事をよく考え戦略を吟味した方がよろしいでしょう。