車内マナー向上にご協力を


 先日、いつものように帰宅ラッシュで、人がごった返している電車に乗車してぼーっとしてたんですが、私が立っている後ろの方から30代から40代とみられる男性の怒声が、私が乗っている車両全体に響き渡りました。

横目で確認してみると怒鳴っている相手はどうやらその男性の正面に座っている20代の学生風の若者でした。野次馬根性から耳をそばだてて喧嘩している内容を聞いてみると、発端は若者の携帯電話での通話でした。私の印象からすると怒鳴っている男性は最初からけんか腰で日頃のストレスを相手にぶつけているような調子で八つ当たりといった感じでした。これ以上お互いの感情がヒートアップするとお互いが実力行使に踏み切る可能性があったので止めに入り、怒鳴っている方と一緒に(最寄り駅ではない駅に)下車しましたが、

それにしても電車内は殺伐としていて何が引き金になって相手の怒りを買ってしまうか分からないので特に混雑している時は一般的にマナーとして認知されているルールに従うにこしたことはありません。

携帯電話の優先席付近での電源offや通話の禁止、化粧をしてはダメ、通勤電車内での食事はNGなど、はっきりと鉄道会社によって規定されているマナーや乗客が認める暗黙のマナーまで公共の空間を乱さない決まり事は割と多く設定されていて現在作られているマナーに嫌悪感を抱く人も多いでしょう。

嫌悪感を抱く人の中には、周りで人と話しているのはよくて、携帯電話はなぜダメなんだとか、厚生労働省から認可されているペースメーカーは直接携帯を患者の胸に当てても誤作動を起さないから優先席付近で携帯電話の電源を切る必要もないし、通話してはいけないということもないだろう?という理屈を示す人が多いと思いますが、マナーというのは日本では空間の調和です。こういった理屈では多くの人を納得させられないでしょう。

特に日本人の民族性から言って一旦定着したルールやマナーは常識だと思い込みなかなか異論を許さない傾向にあり、日本では、マナーはマジョリティーが持つ道徳観を表し、それを守る基準は個人の良心によって委ねられているといった考え方は通用しないでしょう。ルールやマナーを守らなければそれを強要される雰囲気は日本ではあります。

その辺は鉄道会社やその他、他人と空間を共有する場所を提供するレストランなどは心得ていて、彼らはマナー自体に良い悪いといった判断をしているわけではなくて、マナーを守る事で極力客同士のトラブルを避けたいのが本音です。

ペースメーカーの件も車内通話に異を唱える人の理屈に正当性があることもよく理解していると思います。鉄道会社の車内マナー向上の真の目的は公共空間の調和を取る事です。多くの人はルールやマナーを守る事が公共空間の調和につながると考えているので、鉄道会社はそこを尊重して特に携帯電話の取り扱いについては注意を促している訳です。極力乗客のトラブルを避ける為に。

自分の正当性を主張して自分のやり方を曲げないというのは間違ってはいないと思います。ですがここは日本です。極端に多様性が認められる国ではないのです。ですからトラブルが予見できる場合は少なくともその考え方は改めるべきでしょう。

物事に疑問をもつことはとてもいいことですが、それに否定的になってはいけません。常にマナーやルールなどが存在する経緯や背景をとらえることが重要です。日本では調和や協調が最も重要です。気持ちよく公共の空間が使えるように空気を読みましょう.