スマホ中毒者に警鐘

 

 いつも通勤で使う電車内、オフィスへ行く途中にあるスクランブル交差点、昼食のために頻繁に通う居酒屋、いつもお世話になっている本屋、私のライフスペースにいる人のほとんどは常に絶え間なくスマホで情報収集をしています。  

  片時も目を離さずインターネットの閲覧に没頭し少し暇があればスマホを起動して情報収集を始めます。食事している時も、歩いているときも、気がつけば現実世界をはなれてインターネット上に生存するネチズンとして活動してしまっているのではないでしょうか。  

  こうしたiphoneやスマホの社会的な影響力を背景に「起業」というキーワードでいつも各紙を賑わせているのはアプリ開発やソーシャルネットワークで成功したIT系のベンチャー企業。もはや起業とはITだと言わんばかりの勢いです。  

  毎年星の数ほど生まれているインターネットサービスはユーザー数の確保やダウンロード数の確保に奔走しますますネチズンを生む結果となっています。    

  確かに、インターネットによる情報革新が与える便利さは現代人のライフスタイルを一変させました。タイムリーに知りたい情報を検索できたり、相互的にお互いのメリットを享受できるマッチングサービスなど格段に効率性を向上させるツールやシステムがネット上にはたくさん転がっています。

  しかし、その便利さを享受するテクノロジーの矛先はいつしかネット上の仮想世界を日に日に肥大させる方向に動いてしまっているのではと危惧しています。ゲームアプリ、ニュースキュレーションサービス、ソーシャルアプリはユーザーがアプリにユーザーを囲い込んで滞在時間をいかに引き延ばすかによって課金の可能性や広告の価値を高めていると思います。

  結局こういったベンチャー企業のユーザーの反応をあげる施策に翻弄されて射幸心をあおるアプリに無駄な時間を費やしてしまう人が多いと思います。人によってはニュースは役立つと言っている人もいるかもしれません。でも私から見ればネット上の情報なんて混合玉石です。8割は根拠のない情報が様々な解釈で語られているので役に立つとは言えないでしょう。

  私はガラケーを使っています。最近ガラケーの生産中止だの、終了だのとガラケーの終焉をあおる記事が様々な雑誌で散見されますが、私は使用を辞めようとは思いません。理由は時間の浪費を防ぐ為です。私は意志が弱いのでインターネットに接続すると気になる単語を次々と検索窓に叩き込んであっという間に時間を使ってしまいます。この生産性のない時間を極力減らして空いた時間で本やKindleから良質な情報を得ています。

  もちろん仕事上欠かせないメールのやり取りや、Todoリストをまとめたりする便利なアプリを使って効率化を図るためipadは持っていますが、使うのは必要最低限です。そう基本的に私にとっては便利なツールでしかありません。

  インターネットやアプリは確かに面白いですし、居心地がとてもいいものです。ですが覚えておいてください。居心地のいいものほど危険です。目的意識のない情報検索は延々とゲームをしているのと変わらない精神状態です。自分の限りある人生を快活に過ごす為に少しでもアプリやインターネットの魔力を理解して、自分はネチズンなのだろうかという客観的な認識を持ってください。