審判の裁量で勝敗が決する柔道 これは実力ではない

スポーツにはおおよそ全てにおいてルールに基づいて反則行為に対してペナルティーが設けられているが、柔道ほど相手の反則によって勝敗が決してしまうものはないだろうと私は思っている。

柔道の場合、試合中、禁止事項に該当する行為が見受けられた場合、試合を一時的に中断して、段階的に選手に対してペナルティーを与えている。教育的指導、注意、警告などの反則ペナルティーが反則行為の回数や反則行為の重さによって相手が技をかけた際に与えられる、有効、技ありなどと同等のポイントを相手に与えてしまう事になる。

ほとんどの反則行為、禁止事項に関しては非常に細かい基準が存在するが、試合運びに関する反則事項については審判の主観による判定が極めて大部分を占めていると思う。
私が極めて曖昧だと感じる、それぞれの審判の主観によって選手に与えられているペナルティーは”教育的指導”だ。防御姿勢と、両者のこう着状態の解消、試合運びの積極性に言及したペナルティーだが、これによってこれまでどれだけの勝敗が決しているか。。指導一つ二つで敗れ去った選手がどれほどいるか。。。
しかもこのペナルティー、審判の主観の為、ペナルティーの与え方は十人十色。それぞれ判定の理由も異なるし、同じ選手同士による膠着状態が続いてもペナルティーを与えない審判もいる。
実力が拮抗すればするほど教育的指導の価値は大きくなり、審判の裁量による勝敗を決する割合が高くなる。これではどう見ても本当の実力が試合では証明されない。

ペナルティーは選手の試合運びには決して介入するべきではないというのが私の持論である。というのも、技は全て駆け引きで決まるので、積極的に試合をするかどうかは選手個人の戦略に委ねられるべきだと思う。 防御姿勢を取るのも一つの戦略、積極的に技を出さないのも一つの戦略、こう着状態が続いても相手の動きを注視して隙を伺うのも一つの戦略、それらをひとくくりに指導というペナルティーによって強制的に反則行為にするのはもはや、スポーツはおろか、武道としての考え方を完全に失っている。

柔道は全てトーナメント制。試合運営を限りある時間内に効率的にマネージメントしようとするならば、どうしても指導という便利なペナルティーが必要なのだろう。本当の意味で実力をはかるならば柔道はトーナメント制では無理だということを言っておきたい。

それにしても最近の柔道世界選手権は指導一つ二つで勝敗が決する。これはもう審判がどちらかに肩入れをして指導を与えて反則がちにしても誰も分からない。審判が選手の試合の勝敗に介入していると見られてもおかしくないと思うが、誰もここに疑問をもたないんだろうか?